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起立性調節障害(OD)とは?

起立性調節障害(OD)は、自律神経の調節がうまくいかなくなることで、立ち上がったときに脳や全身への血流を保ちにくくなる状態です。

朝起きられない、めまい、立ちくらみ、頭痛、腹痛、動悸、強い疲労感など、さまざまな症状が現れます。

また、ODの中には、POTS(体位性頻脈症候群)のように、立ち上がったときに心拍数が大きく上昇するタイプもあります。

ODは「朝起きられない病気」と思われがちですが、食欲低下、集中力の低下、不安感、気持ちの落ち込み、睡眠リズムの乱れなど、体と心の両方に症状が現れることがあります。

見た目には元気そうに見える時間帯もあるため、周囲から理解されにくいことも少なくありません。

ODで見られる症状について

なぜ、朝は起きられないのに午後になると元気になる
のでしょうか?

朝は、眠っていた体を活動状態へ切り替えるために、脳の覚醒、自律神経、血圧、体温、ホルモンなど、多くの仕組みを一斉に立ち上げる必要があります。

ODのお子さんでは、この「朝の立ち上がり」がうまくいかず、登校できるほどの活動レベルまで上がるのに時間がかかることがあります。

何時間かかけて少しずつ体が動ける状態になり、午後には、家で話す・動画を見る・ゲームをする程度ならできるようになることがあります。

そのため、「午後に好きなことができている=十分に元気になった」わけではありません。

家では元気なのに学校に行けないのはなぜ?

「家では元気にゲームをしたり、笑ったりしているのに、朝になると起きられない。学校へ行こうとすると具合が悪くなる。」

このような様子を見ると、「本当は行けるのでは?」「気持ちの問題なのでは?」と思ってしまうことがあります。

でも、家で元気に見えることと、学校へ行けることは同じではありません。

自宅でゲームなど好きなことをする場合は、座ったまま、あるいは横になったままでもできます。疲れたら休み、自分の体調に合わせて過ごすこともできます。

スマートフォンのバッテリーが20%しか残っていなくても、省エネモードならできることがあるのと似ています。

家で過ごしたりゲームをしたりする程度のエネルギーは残っていても、登校して一日を過ごすためのエネルギーまでは足りない。

そのような状態は十分に起こり得ます。

さらに、体調が悪いときは、元気なときよりも集中力や注意力が落ちやすくなります。

それでも学校では、先生の話を聞き、指示を理解し、授業についていき、友達とのやりとりにも対応しなければなりません。

聞き漏らしたり、反応が遅れたり、普段ならしないミスをすると、人前で困ったり、恥ずかしい思いをしたりすることもあります。

そのため本人は、元気なとき以上に注意を払い、強く集中しながら過ごしていることがあります。

つまり、体調が悪いから力を抜いて過ごしているのではなく、体調が悪いからこそ、人並みに過ごすために普段以上のエネルギーを使っていることがあるのです。

外からは「普通に過ごしている」ように見えても、本人の中ではかなりの緊張状態で、エネルギーを使い続けていることがあります。

だから、家で元気に見えることは、学校でも同じように過ごせることを意味しません。

昼夜逆転

「早く寝よう」「朝起きよう」としても、なかなか生活リズムを戻せないことがあります。

その背景には、生活習慣だけでは説明できない身体の事情が隠れていることがあります。

たとえば、朝に血圧や心拍をうまく立ち上げられない、夜に十分な睡眠がとれていない、体内時計が後ろにずれている、血糖の変動が大きい、感染や炎症のあとに自律神経の働きが乱れている――こうした状態では、本人が努力しても朝に体を起こしにくくなります。

さらに、昼間に十分に活動できない状態が続くと、夜になっても眠気が出にくくなり、昼夜逆転が固定していくこともあります。

そのため、昼夜逆転を「夜更かしの癖」とだけ考えるのではなく、なぜ朝に起きられないのか、なぜ夜に眠れないのかを身体の側から考えることが大切です。

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① 朝、体を目覚めさせる仕組みの問題

HPA軸・コルチゾール・体内時計など

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治療を続けても改善しない場合、考えられること

起立性調節障害は、自律神経の調節が大きく関わる病気です。

一方、治療を続けても十分に改善しない場合には、症状や経過によって、ほかの身体の状態についても考える必要があります。

私の診療では、特に次の4つの視点から、回復を妨げている要因がないかを検討します。

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② 体を支える土台の問題

栄養・睡眠など

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③ エネルギーを作る力の低下

ミトコンドリア機能など

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④慢性的な炎症

腸内環境、アレルギー、慢性鼻炎、慢性上咽頭炎など

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① 朝、体を目覚めさせる仕組みの問題

HPA軸・コルチゾール・体内時計など

朝、体が活動を始めるには、体内時計、自律神経、体温、脳の覚醒、ホルモンなど、いくつもの仕組みが連携して働きます。

その一つがHPA軸とコルチゾールの日内リズムです。コルチゾールは通常、朝に増え、血圧や血糖を保ちながら、体を活動できる状態へ切り替える働きに関わっています。

朝起きられない症状が続く場合には、症状や経過に応じて、睡眠や体内時計、自律神経、ホルモンの日内リズムなども含めて考えます。

② 体を支える土台の問題

栄養・睡眠など

成長期には多くの栄養とエネルギーが必要です。

 

食事量が少ない、偏食がある、朝食がとれない、消化・吸収がうまくいっていない、睡眠の質が十分でないなどの状態が続くと、体全体の働きに影響することがあります。

症状に応じて、栄養状態や食事、消化吸収、睡眠なども確認します。

③ エネルギーを作る力の低下

ミトコンドリア機能など

私たちの細胞でエネルギー産生の中心的な役割を担っているのがミトコンドリアです。

エネルギーを十分に作れない状態では、立つ、歩く、集中するなどの日常的な活動にも大きな負担がかかることがあります。

「少し動いただけで疲れる」「学校へ行くだけで一日のエネルギーを使い切る」「休んでも回復しにくい」といった症状が強い場合には、エネルギー代謝についても検討します。

④ 体内の炎症

腸内環境、アレルギー、慢性鼻炎、慢性上咽頭炎など

感染症やアレルギー、鼻・上咽頭の慢性的な炎症、腸内環境の問題などに伴って、免疫・炎症反応が続くことがあります。

また、COVID-19、インフルエンザ、マイコプラズマなどの感染後に、それまでなかった強い疲労、立ちくらみ、頭痛、集中力低下などが続くこともあります。

こうした症状がある場合には、感染前後で何が変わったのかを確認し、症状や経過に応じて、免疫・炎症や自律神経などの関与についても検討します。

すべてのODのお子さんに炎症があるという意味ではなく、改善しにくい場合に考える背景の一つです。

私の診療で考えること

同じ「起立性調節障害」という診断でも、症状の背景や、回復を妨げている要因は一人ひとり異なります。

私は診断名だけを見るのではなく、「なぜ、このお子さんは改善しにくいのか」という視点で、これまでの経過や症状を詳しく伺います。

必要に応じて、栄養状態、エネルギー代謝、腸内環境など、一般的な診療では詳しく調べることの少ない領域についても検討します。

治療の目的は検査値を整えることではありません。

 

ご本人とご家族が今何に困っているのかを確認しながら、そのお子さんが本来送りたい生活に近づくことを目標にします。

よくある質問

受験を控えています。できるだけ早く回復したいのですが、相談できますか?

はい、ご相談いただけます。

受験など期限がある場合は、まず現在の症状やこれまでの経過を詳しく確認し、改善を妨げている要因がどこにあるのかを整理します。

必要に応じて、栄養状態、エネルギー代謝、腸内環境、炎症、感染後の変化なども含めて評価し、今どこから治療することが最も重要か、優先順位をつけて進めます。

ODの回復スピードには個人差があるため、「受験までに必ず治る」とお約束することはできません。

ただ、限られた時間の中で、今できることを整理し、治療の手をできるだけ早く打つことは大切だと考えています。

 

 

 

感染症のあとから朝起きられなくなりました。ODと関係することはありますか?

感染症をきっかけに、ODのような症状が始まることがあります。

COVID-19、インフルエンザ、マイコプラズマなどの感染症をきっかけに、強い疲労感、立ちくらみ、動悸、頭痛、集中力低下、朝起きられないといった症状が続くことがあります。

感染症そのものが治ったあとも、免疫反応や炎症、自律神経、血管、脳・神経、エネルギー代謝などへの影響が残ることがあるためです。

感染後にODのような症状が始まった場合は、単に「生活リズムが崩れた」と考えるのではなく、感染前と比べて何が変わったのかを丁寧に振り返ることが大切です。

次の一手を
見つけるために

ODの治療を続けてもなかなか改善しないときには、これまでとは異なる視点から身体の状態を見直すことで、新しい手がかりが見つかることがあります。

「異常なし」で終わらせず、今できることが残っていないかを一緒に考える。


それも、私の診療の役割だと考えています。

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